【RIENINAL】古着屋の枠に収まらない ‘20年型コンセプトショップが恵比寿に誕生
リィエニナル。
店内に足を踏み入れると、まるでアートギャラリーのようであり、海外のオシャレなセレクトショップのようでもある。
陳列されているのはもちろん古着だし、すでにこの世にはいないお馴染みの有名ミュージシャンの姿が印刷されたTシャツやポスターが陳列し、アンティークの花瓶やカセットデッキにインテリア雑貨が店内を占め、BGMや映像は過去から現在のものまで様々。
古着屋なのに何故か最先端の空気感と真新しい価値観に出会った新鮮さ。
『温故知新』と『コントラスト』のコンセプトがその謎を紐解く鍵です。
2021年3月に恵比寿に誕生した【RIENINAL リィエニナル】にて中島隆博さんにお話しをうかがいました。
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明るく白い内装空間に印象的なグラフィティの服やアートワーク、色彩豊かなフラワーベースが視界に飛び込み、入り口では映画が映し出され、そして良い香りが!
中島隆博さん(以下中島さん):店内はごちゃごちゃしすぎないように心がけていて、
一部の商品を切り取って編集して提案、陳列しています。
レイアウト、流す映画・映像、音楽も自分が見てきたもので感覚的にやっていて、元々オフィスという場所柄もあって、オフィスデスクが余っていて、何なら活かすところからコンセプトにかけてイメージを考えました。
このRIENINAL自体を始めるきっかけは、世の中の新しい流れの中で何かできることはないかという想いが強くなり、会社に是非やらせていただきたいとお話して事業として、まずは拠点となるお店作りからスタートしました。
8つのRe、絵になる、家にある▶【RIENINAL リィエニナル】
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皆さんまず気になっていると思います。
店名の【RIENINAL リィエニナル】の由来を教えてください。
中島隆博さん(以下中島さん):僕が作った造語なんですよ。由来・理由は3つあります。
お店のコンセプト、行動指針を決める上でのキーワード、Recycle、Reuse、Reduce、Remake、Rebuild 、Rebirth、Revival、Reverbからなる8つの「R(E)」の頭文字『Re』を取り入れると決めました。
2つ目が『絵になる = ENINAL(エニナル)』。
表面的な”絵になる”に加えて、”自分のスタイルを持つ”自己肯定であり、その姿勢が絵になるという意味合い。
不要とされたものでも手を加えれば絵になるという再生(生まれ変わり、アップサイクル)を意味します。
3つ目が『家にある = IENIAL(イエニアル)』。
自分らしさって家に集まってくると思うんです。
家にあるものも自分が見たら見飽きたものかもしれないけれど、他の人から見たら魅力的なものもたくさんあって、
ReuseやRecycleなどの循環を促すような意味も込めています。
あとは、このお店がお客様にとっても気軽な家になるような存在、お店がクローゼットみたいな感じになってくれたらいいな、と思って名付けました。
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“家”という単語から服以外の雑貨も置かれているのですか?
中島さん:それもありますね。僕自身、20歳くらいからUSアンティークの雑貨にすごく興味があって、長年少しずつ集めていく中で、服と同じ、何かのルールにとらわれず、様々な年代の物を組み合わせるのが楽しいなというのを、接客を通じて知ってもらいたいなと。
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服や雑貨の仕入先はどちらでしょうか。
中島さん:アメリカが中心、俗にいうUS古着・雑貨がメインです。
仕入はアメリカですが、中には古い物で日本製の物がアメリカに渡り、それがまた戻ってくるケースもあります。
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時を経てまた現代の日本の私達の戻ってきてくれるのはロマンがありますね。
中島さん:どこでどんな旅をしてきたのか、それもロマンですよね。
”温故知新”って言葉があるじゃないですか。
昔を振り返り、知って、新たな知識、価値観を見出す。
ちょっと見方変えるとめっちゃいいやんみたいなことも思って、
元々のオフィスにあったデスクを利用しているのも、見方を変えると商品がくっきりと見えて意外とアリ、というモノの見え方の変換、無駄なく有効に使うことを意識しました。
温故知新ともう一つ、コントラスト。
昔があるから今があって、今があるから古着が面白い、古着があるから今が面白い、過去があるから新しいものも生まれる、どっちが良いかとかじゃなく、その共存から生まれるモノをコントラストと表現しています。
転機となった2019年ニューヨークへの出張
サスティナブル、エシカル、多様性への意識転換期だからこそ原点の古着を
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名前の由来にも含まれる3R、アップサイクルなどに興味を持たれたきっかけはありますか?
中島さん:ちょうどコロナが世の中で騒がれる前、2019年に仕事でニューヨークに行かせていただきました。
その時、向こうで起きている状況に日本とのギャップ、遅かれ早かれ来る未来を感じました。
時期的にはForever 21が閉店セールの真最中で、タイムズスクエアとか人通りの多い場所で、めちゃくちゃ安くしても、お客様は見向きもせず店内には全然人がいない。
一方、マンハッタンのソーホーに行けばEverlaneといったエシカルな考えを持ったブランドのお店には20代から30代のお客様で混み合っている。
それを見て、これから消費者に求められるモノが変わりつつあるなーと感じました。
他にもNORDSTROM新館のOPENやNIKEの旗艦店を見てデジタル化の進歩、2次流通の市場拡大なども目の当たりにして、
時代は明らかに変わってきていることを体感しました。
帰国後、渋谷のスクランブルスクエアや渋谷パルコが控えていて、オープンの姿を見ると、
当時は翌年のオリンピックを想定して玄関口の様な東京・渋谷が生まれ変わる、
今日本でもこれだけやっていますよ!というようなメッセージ、
「なるほど、そうだよなと」とすごくしっくりきました。
その後は記憶に新しいコロナで一気にデジタル化の波、SDGsやサスティナブルという言葉がある意味バズワードのように飛び交って、遅かれ早かれ来るとは思っていたけれど、時間が一気に押し進んだように感じます。
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日本のファッション業界、古着人気についてはどのような思いですか?
中島さん:無理して服を買うのではなく、自分にとって良いものを見極めて上手に買い物をしてファッションを楽しむ傾向が強くなっている。
これからは古着だから買う、新品だから買う、でもなく、新品も古着も同じように選択肢の一つとして自然と選ぶ、そういう感覚がスタンダードになると思っています。
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服・モノとして良いものを提供しているということなんですよね。
中島さん:そうですね。
ファッションについては、日本はすごく面白い、素晴らしい文化だと思っています。
日本特有の芸の細かさや編集は海外から見ても面白いんだろうなと思っています。
自分もファッションの業界で16年くらい携わらせていただいて、色々な流れを見てきました。
その中で、今、大量消費・大量生産など業界で問題視される部分にも目を向けなくてはいけないし、少しでも無駄をなくす工夫や、それぞれが出来ることからでも取り組まないといけない、少しずつでも持続可能なことを考え実現していくことが求められていると感じています。
古着に限らず、少しでも物の寿命を伸ばすことなど、RIENINALで試行錯誤しながら取り組んでいきたいと考えています。
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そんな中島さんのコンセプト・ヴィジョンが見事にこの空間で実現されていますね!
中島さん:それが、まだまだこれからです。
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まだまだなんですか!?まだまだやっていきたいことがあるんですか?
中島さん:めちゃくちゃあります!
まずは今RIENINALの秋の切り替えに向けて現在計画を進行中です。
あくまでキュレーション型なので、店内の雰囲気もガラッと変えようと。
RIENINALだからできる編集、それがこの空間の軸になるので、秋にはまた違った形で表現できればな、と。
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”編集”や”キュレーション”という言葉を使われているので、テーマ毎の変化が可能なんですね。
中島さん:そうですね。あくまで古着はアイデンティティの一つ、方法の一つで、
温故知新、コントラスト、アップサイクルといったコンセプトをベースに中身は軸に沿っていれば古着にとらわれず自由度もある。
流動的な時代に対してもチューニングを合わせながら、面白いことが出来たら自分自身も楽しいですしね。
コンパクトだからこそ色んなアイディアを出来る環境だと思います。
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スタッフの方は他に何名ほどいらっしゃるのですか?
中島さん:今はまだ僕しかいないですよ。
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えっ!本当に全てお一人でされているのですね。
中島さん:そうなんです。なので、定休日があったり僕の別仕事の関係で不定休を取らせていただいています。
秋以降にはまた違ったものにしていこうと思っているので、社内の興味のあるスタッフにも手伝ってもらおうかとも考えています。
あと、もしVintage Cityさんの記事を見て、実際に働いてみたいなと思う方がいたら、逆に教えていただきたいですね!すぐに採用できるかどうかわかりませんけど。笑
古着が好き!ファッションが好き!音楽が好き!とか、
好奇心旺盛な人ならRIENINALで表現する場として楽しいんじゃないでしょうか。
これはRIENINALで働きたい方!興味のある読者の方に朗報です!
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最後に、古着の未来、中島さんの展望をお聞かせください。
中島さん:古着って今、ブームっていうニュアンスで捉えられている気がしますが、今の古着の流れは過去に起きた古着ブームとは少し違っていて、年代的に古くてとか希少価値だけでなく、シュプリームなどのストリートブランドやNIKEのスニーカーとかに近しい需要と供給のバランスで高騰する一種のムーブメントにもなっていると思います。世界的に。
古着でも目当てに並びができたり、プレ値のように取引されたり、
「スニーカーのように今となっては誰もが当たり前に履くようになった」みたいに、
古着も思わぬ流れで市民権を得るような大きな転換の時期に向かっているように思います。
一方で、世界に目を向けると中古衣料のECサイトを運営するアメリカのスレッドアップによれば、2030年にはリセール市場はファストファッションに2倍の規模になると予想していて、
アメリカのメイシーズやノードストローム、イギリスのセルフリッジなど海外の百貨店も戦略的に2次流通市場への方針を出している。
日本でも二次流通の市場が広がることは自然と考えられます。
古着もそんな大きな中古市場という拡大するシーンの中にあって、
これからも変化していくと思いますし、
RIENINALはその中でインディペンデントな立ち位置を目指して、
古着含め様々な編集をしながら積極的に新しいことにチャレンジしていって、ファッションの面白い手札の一枚になっていけたら楽しそうですよね。
RIENINALオススメ商品
Scarface / Jou wanna play games! 本日ご紹介するこちらは1983年公開のギャング/マフィア映画「Scarface」のTシャツになります。 ギャング/マフィア映画で外せないクラシック作品、映画界のみならず、音楽業界、HIP HOPにも大きく影響を与えて、映画公開以降、今なお様々な部分でサンプリングされています。 Supremeなどのファッションブランドからもコラボレーションでデザインソースとして起用されています。 黒と白と赤で構成されたジャケットのオマージュは、古着のTシャツなどでもシンプソンズやマリオ、様々なキャラクターのScarfaceオマージュがあるほど。 ...
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RIENINAL リィエニナル
“wen old wisdom new & contrast” antique & vintage clothing and more... 東京・恵比寿 2021年3月にOPENした “RIENINAL(リィエニナル)”というお店です。 現在は古着とアンティーク雑貨を中心に取り扱っております。 私たちはサスティナブルという観点からも、 「服を大切に長く着ていく」 「物を大切に共にしていく」 まずは少しずつでも出来ることから、 私たちのフィルターを通して、 服や物の“ムコウガワ”にある文化や魅力をお伝えし、 VINTAGEはもちろん、 古着の良さを変わらず大切に繋ぎ続けること、 また一方で不要...
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カジュアル、デザイナー、モード、グランジ、ストリート、スポーツ、アウトドア、コラボレーション
“wen old wisdom new & contrast”
エディター:上月マキ
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フォトグラファー:Kenya Shiina
写真はもちろん、クリエイティブ映像作家としても活動。MVや企業PVをメインに多彩なジャンルの映像を制作している。
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