【no pain no gain】表参道/プライベートスペースのような居心地の良さを。自由に買い物が楽しめるこだわりを集めた静かな部屋
表参道駅から歩いて5分ほどのところにある閑静な住宅街になじんでたたずむ 「no pain no gain」。
海外のハイブランドのセットアップやトレンチコートなどユニークなアイテムを、他店には真似できないリーズナブルな価格で提供。2022年の3月にオープンした新しいお店ながら、古着ファンの間で注目を集めています。
もわっとした暑さの真夏の昼下がり、空調のきいた静かな店内で、代表の渡辺さんにお店の魅力やこだわりなどについてお聞きしました。
ネット販売を始めたことがきっかけで、古着の世界へ
——まずお店を立ち上げられた経緯から教えてください。
渡辺さん:2022年の3月5日にオープンしました。何もないところから立ち上げたわけではなく、2020年頃から古着を中心にいろいろなところから仕入れをしながらオンラインでお店をやっていて。
もともとはメーカーで営業をしながらECサイトを立ち上げ、InstagramやTwitterのアカウントを作成して洋服の販売を行っていました。そうやって段々と拡大していくうちに会社員としての給料を古着販売による利益が上回るようになっていきました。
そんな状態が半年ほど続き、安定して売上げが立ってきたタイミングを見計らって仕事を辞めたのが2021年の秋。それから、順調に成長してお店を構えることになりました。うまくいくという確信があったわけではもちろんありません。まだ25歳なので、万が一失敗したとしてもやり直せる。やりたいことをやってみようという思いが大きかったですね。
——古着屋をやろうという気持ちはもともとあったんですか?
渡辺さん:「古着屋のオーナーってかっこよくね」とはずっと思っていたのですが、実際にうまくいくお店は一握りしかありません。初めからそれを目指してやってきたというより、ある程度かたちがみえてきたところでスタートを切ったという流れですね。
——お店の立地としてこの場所を選ばれた理由は?
渡辺さん:静かな場所を探していました。ホテルで迎えた朝に鳥のさえずりが聞こえてくるような、そんなところがいいなと思っていて。それでいて主要な駅から近く、周囲には古着屋さんもある。そうやってたまたま見つけたのがここでした。
——「no pain no gain」という店名の由来について教えてください。
渡辺さん:大好きな俳優、山田孝之さんが2019年に発表したドキュメンタリー映画のタイトルにちなんでつけました。とくに強い思い入れがあるというわけではないのですが、もちろん、ことわざ自体はそれ以前から知っていて、いい言葉だと思っています。
試行錯誤を重ねてアイテムの魅力をアピール
——取り扱う商品の特徴について教えてください。
渡辺さん:基本的にはブランドのセットアップが主力です。個人的な好みもあって、特にバーバリーのヴィンテージに力を入れています。いわゆるバーバリーチェックを使っていないアイテムが中心です。アウター系も揃えていて、首周りのディテールに特徴があるスペイン製のものを強く推しています。
あとは、ジル・サンダーですね。それらハイブランドのヴィンテージに強いところが当店の強み。将来的には、「バーバリーのヴィンテージといえばここ」と思っていただけるようなお店を目指しています。
また、独自のルートからの仕入れに力を入れていて、どのアイテムもおそらくほかのお店の半額以下の価格帯で提供できているのではないかと思います。「こんなに安くていいんですか?」と驚かれるお客様も多いですよ
——それだけ人気だからこそ卸さんとの良い取引があるのだと思いますが、人気の秘訣はどこにありますか?
渡辺さん:とにかく試行錯誤を繰り返しています。例えば、アイテムの魅力を伝えるにはどんな写真を撮影すればいいか、徹底して考えてきました。決して写真がうまいわけではないのですが、自分のなかに転機になるような発見があって。「このアイテムならディテール中心にお伝えしていくのがいい」だったりとか「これは全体的なシルエットがきれいだから、全体像を捉えてお見せしたい」だとか。経験や直感をたよりにパターン化し、どうすれば“映える”かを考えながら研究しています。
ほかのお店のSNSもよく参考にしています。例えば、あるアイテムを見て「かっこいい」と思ったとしたら、その理由を納得いくまで深掘りしていく感じです。
一度来店くださったお客様にまた来ていただいたり、買ってくれそうなお客様にどうしたら見てもらえるか、日々考えています。
——アイテムとして多いものはありますか?仕入れの頻度やこだわりとあわせて教えてください。
渡辺さん:秋から冬にかけては、トレンチを中心にコートをどんどん増やしていく予定です。例えば、ハイネックやノーカラーといった、首元に特徴があるものが好きなので、メインで置いています。バーバリーやジル・サンダーもそのひとつですが、ヨーロッパのデザインが好きなので、そっちのほうにより力を入れているところがあると思います。
仕入れ頻度は現在は週に1〜2回ぐらい。一度に仕入れる数がすごく少ないので、回数を増やして数をキープしています。こだわっている点をあえていうとするなら、個人的な感覚を大事にすることです。「この服かっこいい」と思えるもの、自分が着たいと思えるものを仕入れるようにしています。とくにアウター系は、生地感を念入りにチェックしますね。
——メンテナンスはどうされていますか?。
渡辺さん:一着ずつていねいに手洗いしています。相当な時間がかかりますが、まとめて洗って取れないシミがあると結局二度手間になるので、一つひとつ細かいところまで見ながら、シミを見つけては超音波を出す機械を使って浮かせながら落としています。
空間を独り占めしながら買い物を楽しめるお店に
——インテリアで工夫されている点を教えてください。
渡辺さん:同時にたくさんのお客様が来られることはあまりないので、プライベートスペースみたいな感じで楽しんでいただければと。ほかのお客様がほぼいないなかでお店を独り占めしながら快適にお買い物してもらいたいので、物をあまり置かずに空間を広くして、店内を歩きまわりやすくすることを大切にしています。
また、商品の見やすさを考えて店内をとにかく明るくしています。古着屋っぽくない雰囲気を感じていただけたらいいですね。
家具をヴィンテージで統一したり、床を張り替えたり、観用植物をおいたり……。あとは大きなモニターをおいてお客様とゲームで対戦し、僕が負けたらディスカウントするみたいに、イベントのようなこともできたらとも考えていて。とにかくまだ発展途上なので、インテリアやレイアウトはこれからも変化していく予定です。
——インスピレーションを受けているものはありますか?
渡辺さん:美術館が好きなので、鏡の周辺はその影響を受けているかもしれません。1〜2ヶ月に1回のペースで新しい額縁を増やしているので、そのうち壁一面、額縁だらけになるかも(笑)
あとは映画が好きなので、気に入った室内のシーンがあると、それっぽくしようと考えたり。もちろん、ほかのお店のディスプレイの仕方も参考にしていて、この前も関西に旅行にいったのですが、そのときにいろいろ勉強させてもらってきました。
——お客様の年齢層について教えてください。
渡辺さん:10代、20代の方が中心で、30代や40代の方もときどき来てくださいますね。そのうち95%くらいが男性ですが、女性物も扱っていて売れてもいます。最近はメンズライクなスタイルがトレンドになっているので、メンズのアイテムを求めて来店される女性も多いですね。
SNSを通じでお店のことを知って来店くださる方が多いのですが、なかには「マップでたまたま見みつけたから来てみました」みたいな感じでふらりと立ち寄られる方も。先日は、島根からお越しくださった方がいて。感謝しかないですね。
古着は自分らしくあるための近道。手軽にオリジナル性を実現するお手伝いを
——渡辺さんにとって古着やヴィンテージとはどんな存在ですか?
渡辺さん:既製品が市場にあふれているなか、古着やヴィンテージは、簡単に手に入れられる“オリジナリティ”かなと思っていて。ずっと眠っていたような一部の例外を除いて、完全に同じものは二つとないので、1アイテム取り入れるだけでも、オリジナルなスタイルが完成します。現代のようにモノがあふれている時代だからこそ、古着やヴィンテージをうまく使って、自分らしさを見つけていただきたいという思いがありますね。
——最後に、読者の方にメッセージがあれば。
渡辺さん:ゆっくり見てほしいという気持ちがあるので、僕は隅っこのほうで静かにしています。お声かけいただいたときや重たい荷物を持っていらっしゃるときを除き、むやみにお客様に話しかけることはないので、いっさい気負わず、実家に来るような感覚でいらしてくださればうれしいです。
また最近、こことは別に新たにオンラインストアをひとつ立ち上げたので、そちらものぞいてみてください。アニメやコミック、ゲームと関係がある古着を中心にセレクトし、「密かな思いになかなか気がつかない人」という意味の英語圏のネットスラングにちなんで、「senpai_store」と名づけました。
「魔法の天使クリィミーマミ×UNDERCOVER」のコラボ品や「カードキャプターさくら」の90年代の非売品など、オフィシャルアイテムのみを集めて販売しています。Instagramもやっているので、当店とあわせてぜひチェックしてみてください。
no pain no gain
no pain no gain - 廃れないスタイルから流行りの1着まで。 一期一会の出会いを。 no pain no gain. 2022年3月OPENの東京都渋谷区にある古着屋でございます。(表参道駅が最寄りございます。) 青山学院大学から徒歩4分程度でございます。 レギュラーからハイブランドまで取り扱いをしており、ハイクオリティ ロープライスで商品をご提供しております。 閑静な住宅地にあり、落ち着いてゆったり洋服をご覧になれます。 お近くに来た際は是非お立ち寄りくださいませ。 また、BurberryやJIL SANDERのセットアップや、FENDI、DIORなどの人気商品はvintage...
vintage.city
東京都渋谷区渋谷4-2-24リブ青山B1
営業時間:
平日:13:00〜19:00
土日:13:00〜20:00
定休日:火曜日(不定期)
Instagram:
https://www.instagram.com/no__pain_no___gain/
(no pain no gain)
https://www.instagram.com/lojasenpai/
(senpai store)
エディター:Yoshihiro
ヴィンテージフリークのフリーライター。ファッションEC批評を中心にウェブメディアの幅広い領域で活動中。趣味はひとりで古着屋巡りをすること。好きな食べ物は、うに。