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カルチャー

古くて新しいものの魅力。メルカドバッグ

2年前閲覧 1,415

ファッション業界において、ひと昔前に流行したものが再び脚光を浴びる時代が巡る「リバイバル現象」は誰もが知るところでしょう。

例えるなら80年代~90年代に流行ったデザインスニーカーの復刻盤が登場したり、原宿系ポップなゆったり目のアイテムが見直されたりいった現状を目にするとあらためてファッションのたのしさや奥深さ、ただ身につけるためだけでない価値観の普遍性について考えさせられます。

ファッションのトレンドはいつも、時代背景とともに移り変わっていくものです。

戦後の日本には戦勝国アメリカへの憧れからでしょうか、アメリカンファッションが流行し戦争の傷跡が色濃く残るご時世ながら、人々にはファッションへの関心が大変高かった歴史があります。

その後高度成長期へと移り変わっていく中でも太陽族・ヒッピー・DCブランド・ボディコン・渋カジ等々、聞きかじったことのあるモード変化を繰り返す、このファッションのリバイバル具合はつまり温故知新。

可能性を広げさまざまな枠や型からはみ出ようとも、そのヒントはきっと「古き良き時代」から得ることも多く、伝統や文化などを振り返り学ぶことでその知識を材料にイマドキな切り口で新しいファッションの提案が展開されていくのでしょう。

いずれにせよ、いつの時代も人々のファッションへの興味が絶えないことはまぎれもない事実ですね。

時代は令和。

ファッションの生産過程で生じる深刻な環境問題や人体への悪影響に対する懸念も叫ばれ、よりエコでサステイナブル傾向へと変化の一途をたどっていると感じます。

例えばエコファー。

使用済みペットボトルから美しいエコファーを作り出す技術開発の実現や、消費エネルギー・温室効果ガスの削減もかなえたリサイクルポリエステルとトウモロコシ由来の原料をブレンドした素材が開発されたりといったさまざまな努力と工夫で自然環境や社会に配慮した取り組みがすすめられています。

我々の日常においても暮らしかたが大きく変わる「レジ袋有料化」の政策により、エコバッグ持参が浸透してきました。本当に必要なものなのかを考えライフスタイルを見直すことは、個人でもできる環境問題解決への小さなアシストとなりえるでしょう。

ここ数年でエコバックは誰にも必須となり、持ち運び便利な機能的なものからおしゃれなブランドものまでサイズも豊富に登場してきました。

しかし実は歴史をさかのぼること50年、もしくはもっと以前になるかもしれない、そんな時代にすでにエコバッグは存在していたのです。

昭和の人々に必要とされたエコバッグ。それは国民的アニメ「サザエさん」でも主人公が買い物に出る際必ずといっていいほど持参していたアレ、「買い物かご」です。買い物かごこそまさにエコバックの原点といえるでしょう。

流行は繰り返すとはまさにこのこと、バックや小物などのトレンドも時代を越えてリピート。

当時の人々も自分の好きなデザインの買い物かごをさげて市場やスーパーに足を運んだのでしょう。

今ではエコバッグひとつとってもコンパクトなもの、可愛いものや機能的なものなど手軽に手に入るものも多く、気が付けば家庭内のエコバッグは飽和状態…なんてことも。

エコバックをいくつも買いそろえるという、エコの観点からズレ気味の矛盾に陥っている人も多いようです。

「エコの意識」と「おしゃれ心」のバランスを忘れず、エコバックを使い分けるのも生活を楽しむコツかもしれませんね。

装いに合わせて身につける小物類を選ぶように、日常の買い物に連れ行くバッグをどれにしようかと悩むこと自体を楽しんでいる人もいるのかもしれません。

およそセンスの良い人は、自分の中に確かな基準をもっていて、それはファッションだけでなく生き方にも表れているように感じます。

張り切ってお洒落することではなく心地の良い生活を作ること、すべてそこに集約されるのではないでしょうか。

人生をさらに楽しく心豊かに、生活をより自分らしく心地よいものに、お洒落心は人生のスパイスととらえましょう。

流されがちな日常に少しだけ彩りをプラスして、自分の気持ちを満足させられたらOK。

オシャレを自己満足だという人もいますが「自分に似合う」「好きなものは好きlそれでいいのです。

自分が心地よいと思える時間を1秒でも長く過ごせる、そんな時間軸に身を置けたら素敵。


さて今回注目したのはその気持ちにピッタリ添ってくれる「メルカドバッグ」です。

メルカドバッグとはリサイクルされたプラスチックの紐を編んで作られた籠タイプのバッグ。

元々メキシコの工芸品であった編みかごの技術を現代向けにアレンジしたものを指します。 スペイン語で「市場のバッグ」という意味がある通り、メキシコでは大きなメルカドバッグいっぱいに野菜や果物を買いこんでいる人をよく見かけるようですから、日本で言うエコバッグのような感覚で使われているのでしょう。カラフルなプラスチック製の紐を編んで作られたバッグは、英語では「Plastic Woven Bag(プラスチック製の編カゴ)」などと呼ばれるとのこと。

頑丈で濡れても平気な素材であること、型崩れも少なく使い勝手の良いバッグとしても人気。素敵な模様に加えてプラスチック素材の活きた鮮やかな色合いも魅力です。

昭和に幼少期を過ごした私の記憶では、母の買い物かごはちょっとチクチクするような天然素材の編みかごにがま口財布のセットだったと思うのですが、夏に海水浴へ出かける際の水着入れに今で言うメルカドバッグを持たせてもらっていた覚えがあり、最近見かけるメルカドバッグにはほんのり懐かしさと愛おしさを感じていたのです。

それは子供向けのデザインだったのかもしれません、小麦色で明るく健康的な表情の女の子の顔が編まれていました。可愛いいのと子供の雑な扱いにも負けない丈夫さと夏の思い出と相まって優しい記憶となっています。

時は流れ、つい最近めぐりあった可愛いメルカドバッグは、モノトーンのやや小さめなもの。

すっかり頭の奥にしまわれていた思い出の扉を開いてくれたそのバッグは古着屋さんのワンコインコーナーで待っていてくれました。

少し前から時々見かけていたメルカドバッグですが、なんの感想もなく通り過ぎていたのはなぜだったのだろうと疑問に思うほど、猛烈な執着心が芽生え購入にいたりました。

ワンコインで手にれたのはモノだけではなく、値段の何十倍も価値のある懐かしい気持ちでした。

さてこの素敵なアイテムを持ってどこに行こうか、買い物に?おにぎりとお茶を持って川原でのんびりも良し、次に友達と会う約束の日に待ち合わせるコーヒースタンドへも連れて行こうか、心躍る妄想ワールド。

しかし時は空前の新型コロナウイルス感染症拡大がおさまらない非常事態。

不急のおでかけや不要な外出はできうる限り避けるべきですから、なかなかオシャレして出歩く機会もなく。

ひとまずは自宅玄関スペースの一角にそのまま鎮座し、インテリアの一部ですよと言わんばかりの存在感を楽しんでいます。

繊細な柄とは裏腹に頑丈な作りで、自立もするためドライフラワーを入れてみたり、小物入れにしても良さそう。

編み模様のせいでしょうか、どこか涼やかなかごバッグ。

春夏には断然お似合いですが、内布に厚めの生地や合皮エコファーなどをアレンジして使用すれば季節問わず年中活躍の優秀アイテムになりそう。

メルカドバッグを持てば近所のスーパーでのいつものお買い物も、思いついて何気なく寄っちゃうコンビニ時間もひと味違って楽しいものなるはず。

外出に持ち歩き多くの人に見てもらう喜びもないわけではありませんが、何より今は日々私の目に映り幸せな気分を運んでくれています。


エディター : 高橋 由衣

www.instagram.com/iii.p_qiii/?hl=ja

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