ヴィンテージを着て、モダンビルへ行こう。東京あちこち案内
平日はオフィスワーカーでうごめく東京のビル群ですが、休日は人が少ない穴場スポット。このご時世、密にもなりにくいビルを散歩するのはいかがでしょうか。
今回紹介するビルは、バブル期以降に建てられたモダンなビルをご案内。ヴィンテージ古着とのコントラストも楽しめる素敵な空間です。「いつもと違う場所に遊びに行きたい」という時に参考にしてみてください。
※緊急事態宣言の際は、不要不急の外出を控えますようお願いします。
新宿NSビル(新宿)
新宿NSビルは、新宿都庁周辺のビル群の1つ。外観はシンプルな高層ビルなんですが、中に入った時のギャップがすごいんです。
1階から30階まですべて吹き抜け。さらに世界一大きい巨大な振り子時計があります。幻想的な空間にうっとり……したところで、展望エレベーターに乗ってください。地上からぐんぐんと上に望む新宿の景色もお見事です。
行き先は29階です。29階には、吹き抜け部分をまたぐ渡り廊下があります。そこから下を覗くと、宙に浮いている感覚になり背筋がぞくぞくします。
そう、NSビルは何度もサプライズがある、エンターテイメント満載のビルです。29階には、レストランもあるのでデートにもぴったりですよ。
SEIKOの振り子時計。よく見ると干支が書かれている。
29階の渡り廊下から見るビルの床面。
NSビルから見る風景は、ビルも緑も多い。
■ ビルコーディネート
アンティークな振り子時計に合わせて、レースやプリーツがあるクラシカルなヴィンテージが似合いそう。
■ 新宿NSビルの詳細
* 住所:東京都新宿区西新宿2−4−1
* アクセス:新宿駅「南口・西口」より徒歩7分
* 建物設計:日建設計(林昌二)
* 竣工:1982年9月に竣工
新橋ニュービル(新橋)
「おやじビル」の愛称で親しまれている新橋ニュービルは、サラリーマンだけではなくレトロ好きな若者たちも通う超人気ビルです。ビル1階にあるジューススタンド「ベジタリアン新橋本店」や地下にある喫茶店「フジ」に行くもよし。ゲームセンターでレトロゲームを楽しむもよし。
私のオススメはなんといっても4階の屋上です。繁華街のど真ん中にあるエアポケット的空間であり、なんだかリラックスできるんです。ただし平日の9時〜17時までしか開放していないので、足を運ぶ時は注意してくださいね。
あと新橋ニュービルの反対側にある橋新橋駅汐留口直結の「新橋駅前ビル」も最高です。ぜひ、飲み屋のはしごならぬ、ビルのはしごを楽しんでください。
忙しい東京も、ここだけはゆっくりとした時間が流れている。
ここから見る新橋の風景は、なんだか新鮮。あぁセンチメンタル。
ニュー新橋ビルは、レトロゲームの宝庫。
「フジ」は、珈琲もご飯もおいしい。
■ ビルコーディネート
雑居ビルには、60〜70年代もののカラフルなワンピースや柄シャツが映えそう。いつもよりちょっと派手な格好も馴染みます。
■ 新橋ニュービルの詳細
* 住所:東京都港区新橋2−16−1
* アクセス:新橋駅日「比谷口・烏森口」より徒歩1分
* 建物設計:松田平田坂本設計事務所
* 竣工:1971年
TOCビル(五反田)
新橋ニュービルの屋上を紹介したついでに、もう一つチルな屋上を紹介させてください。
TOCビルの14階にある屋上です。見晴らしがよく開放的。ここから五反田バレーのビル群と密集した住宅地を眺めながら飲む、自販機のジュースは最高です。体操をしてる人、上半身裸で日光浴してる人、読書してる人、おのおのが屋上でのびのびと過ごしています。
地下はレストランゾーンでレトロな飲食店もたくさん。私は「喫茶マーブル」で昔ながらのナポリタンをいただきました。地下でお弁当を買って、屋上のベンチで食べるのもアリですね。
他にも館内には、不思議なお店が点在していますので、掘り出し物を探してみてください。
TOCは東京卸センターの略。
特に何にもないけど、またそれがいい。
■ ビルコーディネート
気張らなくてよい普段使いのビルなので、ワーク系の古着を着て、ゆるっとした時間を過ごすのも◎
■ TOCビルの詳細
* 住所:東京都品川区西五反田7−22−17
* アクセス:五反田駅より徒歩8分/上線大崎広小路駅より徒歩5分
* 建物設計:大成建設
* 竣工:1970年
* HP:www.toc.co.jp/
大森ベルポート(大森)
ビルとの出会いは突然です。たまたまトイレを探しに入ったビルですが、大当たり。外観から想像できない開放的な空間と、線とアーチの美しさに心を奪われました。
大森ベルポートの一番の特徴は、アトリウム(天窓がある大規模な室内広場のこと)。建設当初は、日本最大級のアトリウムだったそうです。補足ですが、今は「新宿住友ビル」が日本最大となっています。
貴族のダンスパーティーが開催されるような気品あふれる空間に高揚します。クリスマスシーズンは、ツリーが飾られ、さらにクラシカルな雰囲気ですよ。
外観はよくあるオフィスビル。
一歩入れば、非日常な空間が出現。贅沢につくろいでください。
いすゞ自動車の本社が入っています。だから”ベル”ポートなのか。
どこから見ても、視覚的に楽しめる。
■ ビルコーディネート
シックにモノトーンまたは、ヴィンテージのハイブランドを身に纏っても、かっこいいですね。
■ 大森ベルポートの詳細
* 住所:東京都品川区南大井6-26-1
* アクセス:大森駅または大森海岸駅より徒歩5分
* 建物設計:G都市設計/山下設計
* 竣工:1991年
パレスサイド(竹橋)
最後にいちばん好きなビルを紹介します。毎日新聞社のオフィスであるパレスサイドビルです。なんと建築家は、冒頭でご紹介したNSビルを設計した林昌ニ氏。あの中野サンプラザを設計した方でもあります。
シンメトリーのエレベーターホールやステンレスネットの階段、連続する天井の電球。美しいを通りこして、ユーモラス(遊び心がある)という印象です。ぜひ、いろんな角度から建物内を眺めてほしいです。何度訪れても新しい発見がありますよ。
竹橋駅直結という利便さもあり、ランチできるお店もたくさんあります。私は「赤坂飯店」の坦々麺がおいしくてお気に入りです。
目の前は皇居(パレス)。だからパレスサイド。
ここから見る階段と天井が最高。
宇宙とつながっていそうなスペーシーな空間。
正面から見たり、斜めから見たり。いろんな角度から愛でてください。
■ ビルコーディネート
ヘアースタイルもセンター分けで、シンメトリーな着こなしが映えます。(とはいえ、かっこいいビルには、どんな服装でも似合いますね。)
■ パレスサイドの詳細
* 住所:東京都千代田区一ツ橋1−1−1
* アクセス:竹橋駅直結
* 建物設計:日建設計(林昌二)
* 竣工:1966年
* HP:www.mai-b.co.jp/
気になるビルを見つけたら散策しよう
ビルは外の顔と裏の顔で、異なる表情を持っています。いつも通るビルだけど中に入ったら、そこにはワンダーランドが広がっているかも?
そして、お気に入りのビルを見つけたら、その建築家が誰なのか調べて見てください。その建築が設計した他のビルへ行くなど、散歩の楽しみがぐんと広がります。
エディター : 井上ぺるきち
兵庫県出身。書籍の編集者を経て、現在WEBメディアにてコンテンツエディーターとして勤務。趣味の街歩きや純喫茶巡りを生かして散歩ライターとしても活動しています。古着屋や古書店、リサイクルショップも大好き。