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Culture

身近なSDGs。古着で始めるサステナブルなエシカルファッション

3 years ago3,149 views

持続可能でよりよい世界を目指す「SDGs」

SDGsとは、持続可能な世界の実現に向けて、国際社会全体で達成するために掲げた目標のことです。17の大きな目標と169の具体的なターゲットで構成されています。

国家や企業はもちろん、個人で取り組める内容も多いSDGs。一人一人が持続可能性を意識し、できることから始めることが大切なのです。

ファッション業界でも注目されるSDGs

近年ファッション業界における労働問題や環境問題が、社会問題として取り上げられるようになりました。その原因のひとつである大量生産・大量消費の実態に、多くの人が「このままではいけない」と声を上げ始めています。

持続可能な世界の実現に向けて、ファッション業界はいま変化の必要に迫られているのです。日本ではすでにユニクロや無印良品など、多数の企業がSDGsに取り組んでいますよ。

サステナブルではなかった今までのファッション業界

従来のファッション業界は、どのような点が持続可能ではなかったのでしょうか。ここでは、代表的なものを4つ取り上げてご紹介します。

原料栽培での環境汚染

ジーンズやTシャツなどの素材となるコットンは、綿花を育てて作られます。綿花は育てるのに手間がかかるうえ害虫に弱く、多量の農薬や殺虫剤が使われていました。

農薬は人体に深刻な健康被害を与え、殺虫剤は土壌を枯らすなどの悪影響をおよぼします。生産者にも環境にもデメリットが大きい栽培方法は、サステナブルとはいえません。

生産国での労働搾取

これまでのファッション業界は大量生産・大量消費の志向が根強く、より安価な生産方法を選ぶ傾向にありました。そのため生産国では安い賃金で労働力が搾取され、労働者の権利や労働環境の保全が二の次になっていたのです。

労働搾取は人権侵害や生産国の発展を妨げることにもつながり、さまざまな問題の要因になっています。

生産過程での水質汚染

衣類を生産する工場では、染色工程で多量の水を使います。使用後の染色液がそのまま川へ排出されたり、排水処理が不十分だったりするケースが問題になっています。汚染水が河川へ流れ、川や海にすむ生物の健康を脅かしているのです。

また世界では毎年ポリエステル素材の洗濯により、およそ50万トンのマイクロファイバーが河川へ流れ出ています。

廃棄過程でのCO2排出

日本では年間およそ15億点の衣類が廃棄処分されています。数回着ただけで捨てられる洋服や、一度も着られずに処分される洋服も多くあるといわれています。

低価格で洋服が手に入るようになり、「ワンシーズンで使い捨てる」意識が消費者の中に芽生えたのです。使い捨てられた衣類のほとんどは焼却処分され、その過程では大量のCO2が排出されています。

環境にも人にも優しいエシカルファッション

SDGsへの取り組みとして、ファッション業界ではエシカルファッションの推進が主流です。エシカルは「倫理的な」「道義的に正しい」という意味のことば。日常的なことばにすると、エシカルファッションは「やさしいファッション」ともいえます。

では、エシカルファッションとは具体的にどのような取り組みを指すのでしょうか。

ここでは、エシカルファッションの推進団体The Ethical Fashion Forumが定めた10の基準をご紹介します。

1.安い使い捨て型のファッション消費に反対している

コストを抑えるため短期間に大量生産することは、過剰な売れ残りや大量廃棄に繋がる深刻な問題。世界では毎秒、トラック一台分の衣類が廃棄されているという報告も。

必要とされる分だけ洋服をつくり、一着一着をできるだけ長く大切に着ることがエシカルなファッションだといえます。

2.労働者の賃金、権利、環境を守っている

生産国における労働問題の解決に取り組むのも、エシカルファッションには欠かせません。コスト重視の従来のファッション業界では、労働者は安い賃金で雇われ劣悪な環境で働くケースが少なくありませんでした。

縫製工場では特別なスキルがなくてもできる仕事がたくさんあり、児童労働者も多いのが特徴。家計のために働く彼らは、教育の機会まで奪われているのです。

3.動植物の持続可能性を支えている

生物の多様性を守り、未来へつなげていくためには、サステナブルな取り組みが欠かせません。限りある資源は必要なだけ、なるべく自然界への影響が少ない方法で活用することが大切です。

4.有毒な農薬や化学薬品の使用問題に取り組んでいる

大量生産では手間や生産コストを省くため、たくさんの農薬や化学薬品が使われています。生産者や環境への深刻なダメージを与え、低価格を叶えるために大きな犠牲が発生しているのです。

有毒な農薬や化学薬品をできるだけおさえた方法で衣類を生産する。それが人にも環境にもやさしいエシカルファッションだといえます。

5.環境にやさしい素材の使用、または開発をしている

エコフレンドリーな素材を使った製品が近年、注目を集めています。自然分解される植物繊維からできた素材や、プラスチック製品をリサイクルして作られた素材などが有名です。環境に責任を持ち、サステナブルな方法で生産をすることで、環境破壊に歯止めをかけられるのです。

6.水の使用量を最小限におさえている

一本のデニムを生産するために使われる水の量は、なんと7000リットルにもなります。生産国の工場付近では水不足が深刻化し、川や湖が干上がってしまった場所もあるほど。水の使用を最小限に抑えることは、サステナブルなエシカルファッションには必須だといえます。

7.リサイクルやエネルギー問題、廃棄問題に取り組んでいる

リサイクルを上手く取り入れてエネルギー消費を抑えたり、再生可能なエネルギーを使ったりするのもエシカルな取り組みです。また衣類をむやみに大量生産せず、必要なだけ生産するのも効果的。エネルギーの節約や、廃棄される衣類の減少に繋がります。

8.ファッションにおける持続可能性を作りだし、促進している

サステナブルなファッション業界の在り方は急務であり、業界全体で取り組む必要があります。いまでも環境や水質の汚染、労働搾取などの課題が山積みです。できるだけ早くサステナブルな世界にするために、積極的にエシカルな取り組みを促進していくことが必要なのです。

9.エシカルな取り組みを広め、人々の意識向上に取り組んでいる

エシカル消費が注目を浴びるようになったのはごく最近のこと。しかしその認知度は、令和二年度の調査ではわずか12.2%です。環境や人にやさしい取り組みに興味はあっても、具体的にどうしたらいいか分からない人も多いでしょう。

エシカルな活動をオープンにして認知度を上げることで、より多くの人がサステナブルな取り組みに参加できるようになります。

10.動物の権利を尊重している

動物たちの犠牲のうえに成り立つリアルファーやリアルレザーは、エシカルなファッションとはいえません。近年では動物性素材を使わず、人工的に作られたエコファーやフェイクレザーを使った製品が増えてきました。

動物の権利を守り、尊重することで、動物にもやさしいエシカルな活動になるのです。

古着は気軽なエシカル活動

エシカルファッションへの取り組みは、個人でも気軽に始められます。衣類の消費の仕方を見直すだけでも立派なエシカル活動になりますよ。

普段のワードローブに古着をプラスしてみるのもおすすめです。なぜ古着がエシカル活動に繋がるのか、そのポイントをまとめました。

大量生産にストップ

ファッション業界では衣類が売れると、追加発注や増産をして補充するケースが多くあります。しかし古着は一度誰かの手に渡ってから売られているため、新たな衣類の生産にはつながりません。衣類の需要をはるかに超える大量生産に、歯止めをかけることに繋がるのです。

大量消費にストップ

古着の多くは一点ものです。そのため愛着がわきやすく、大切に長く着ている人も多いでしょう。本当に気に入っている洋服だけを持ち、一枚一枚を大切に着る。そんな洋服との付き合い方は、使い捨て型の大量消費スタイルの抑制に繋がります。

大量廃棄にストップ

古着は誰かにとっては手放そうと思った洋服です。すぐに捨ててしまえば焼却または埋め立て処分となり、環境汚染に繋がります。そんな洋服をワードローブの一着として迎え入れることは、環境にもやさしい取り組みなのです。

環境にも人にもやさしい古着でサステナブルな未来を

エシカルファッションというと敷居が高く感じ、具体的なアクションに踏み出せずにいる人も多いかもしれません。しかし身近なところからでもエシカルな活動へ参加できるのです。まずはできることから、無理なく取り入れてみましょう。

気軽にトライできる取り組みとしておすすめなのが「古着」。個性的なおしゃれを楽しめるメリットもありますよ。ぜひワードローブに古着を追加して、環境にも人にもやさしいエシカル活動を始めてみませんか?


エディター : 佐藤えみ

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