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【神戸市・顏(かんばせ)】昭和レトロな雰囲気で出会う裏原系ネオヴィンテージ - 古着屋オーナーの"First" Vintage vol. 18 -

1 year ago1,232 views

≪今回取材をしたのはこんなお店≫ 

神戸市にある昭和レトロな商業施設ミナエンタウン内に位置する「顏(かんばせ)」。オープンからまだ1年足らずながら、レアな裏原系から人気のアメカジまで豊富なアイテムを取り揃え、コアな人気を集めています。オーナーの中坂さんにお話をお聞きしました。

中坂さんの"First" Vintageを教えてください!

最初に購入した古着は‥‥ 【ネルシャツ】

※写真はイメージです

——初めて購入したアイテム、お店やエピソードを教えてください。

初めて古着を買ったのは高校生のとき。たまたま入店した神戸のサンキューマートでネルシャツを購入したのが最初です。当時から関西ではアメカジが人気で、「古着=アメカジ」みたいな認識があったので、自然にネルシャツを選んだ記憶がありますね。

店内には「古着」というポップが設置してあって、「古着ってなんだろう」と思いながら買ったのを覚えてます。量販店と違ってどれも一点物だとわかって、「世界にひとつしかないものを選んだ」という緊張とわくわく感が混じった複雑な気持ちでした。当時、友達のあいだでは誰もまだ古着を持っていなかったので、優越感のようななんともいえない心地よい気分になったのを覚えてます。

古着をきっかけに、同じ価値観を持った人と出会えたら

——お店をオープンされたいきさつについて教えてください!

大学進学と同時に上京して、18歳で古着屋でアルバイトを始めました。そこで今では師匠と呼んでいる人に出会った影響で、裏原系に関心を持つようになりました。お店をしようというつもりはなかったんですが、そのころからコレクター気質みたいなところがあって、師匠や知り合いのコレクターから譲ってもらったり、自分で買ったりして集めた古着はざっと2000着はあったと思います。

ちなみにその師匠というのは、僕より先に独立して、今も高円寺で営業している古着屋「Bodies」の松倉さんという方です。

大量に集めた古着を見て、あるとき「同じ洋服が好きな人同士って、それだけでつながれるのでは?」とふと考えたんです。そこで、自分の好きな洋服だけを集めた店を開いて、一気に放出することを思い立ちました。

もともと僕が古着を好きになった理由のひとつが、「どんな人がこれを着てたんだろう」と想像すること。古着を通じて、同じ価値観を持った人と出会えた気がしてとても嬉しかったんです。そんな気持ちが高じて、お店を立ち上げたきっかけになってます。

——店名の由来は?

僕の古着カルチャーへの関心のルーツは、画家の岡本太郎さんなんです。太郎さんの作品には顔をモチーフにしているものがとても多いことから、人体にまつわる名前にしたいと思ったのが一つ目の理由です。

もうひとつは、コロナ禍で顔を認識する機会が減り、以前よりも服装が人の第一印象を決めるようになったこと。「服を選ぶ=自分の顔をつくる」みたいな傾向が強くなっているような気がして選びました。店名には「顏」と旧字体を使っているのですが、「かんばせ」という読みがあることを知ったことも決め手になりました。対話を意味する英単語「conversation」と、自由に絵を描ける画材「キャンバス」にも引っ掛けています。

歌謡曲が流れる昭和レトロな店内

——いまの立地を選んだ理由を教えてください!

あまり人が寄らないところにあえて出してて、不便だけどわざわざ来てくれるお客様を大切にしたいと思ったんです。

あとは、テナントとして入っているミナエンタウンに昭和の雰囲気が漂っているところも気に入りました。昭和レトロな感じの喫茶店や映画館があったり、おじいちゃんやおばあちゃんの歌声が聞こえてきそうなスナックがあったり。いまの時代、このアングラ的なカルチャー的要素が古着とマッチするんじゃないかなと。お客様には新鮮さを感じていただけるのではないかと思って選びました。

——インテリアでこだわっているところはありますか?

白熱灯の電灯を飾ったりして、昭和レトロな雰囲気を目指しています。内装は黒を基調として、やや暗めなんですが、スポットライトを使って大事なところは明るくしています。

昭和歌謡、とくに加山雄三さんの音楽が僕が好きなのでよく流しています。店内でレコードを流していると、古着を触ったことがない高齢の方がふらっと入ってきたり(笑)。おかげさまで幅広い年齢層の方にご来店いただいています。

裏原系アイテムとアメカジを中心とした品揃え

——どういったアイテムを取り扱っていますか?

90年代のネオヴィンテージが中心です。中でも軸にしているのが裏原宿カルチャー。裏原系のブランドを多く集めるようにしています。

アメカジも多く扱っていて、アイテムはやっぱりメンズ中心。店内の品揃えは裏原系とアメカジの割合は6:4ぐらいですね。

——お客様の年齢層は?接客で心がけていることはありますか?

いちばん多いのは20〜30代。お客様の9割が男性で、バンドやDJをやっている方など音楽に関心がある方が多い印象ですね。関西圏はもちろん、東京や四国のほうから来てくださる方もいらっしゃいます。

接客では、あまり壁をつくらないように心がけてます。下の名前を聞いたり、僕のあだ名を伝えてあだ名で呼んでもらったり。ありがたいことに、閉店後でも古着や音楽について話したりなど、友達のように接していただけるお客様もいて、古着を通じたつながりが生まれています。

——商品はどのくらいのペースで仕入れていますか?商品選びのこだわりも教えてください!

自分のコレクションから出すことも多いので、定期的に入れるというよりは、必要に応じてピックしにいく感じです。買い付け時には、自分で着るか店に出すか迷うぐらい、自分が気に入ったものだけを選ぶようにしています。

それだけに売れたときは寂しい思いもありますが、自分が好きなものを気に入って笑顔で買っていってくださるので、「大事に育ててやってください」と親のような気持ちで送り出しています。

古着を買うこととは「経験」を買うこと。すべてを楽しんでほしい

——古着初心者の方に、古着の楽しみ方のアドバイスをください。

古着を初めて買ったときの経験は、ずっと記憶に残っていくと思っています。慣れないお店に入るのは怖いものですが、それは最初だけ。素敵な店員や世界にひとつしかないものとの出会いなど、すべてが貴重な経験です。「経験を買う」くらいの気持ちで古着屋さんに行ってみてほしいですね。

また、根気強く探せば、きっと気に入るものが見つかるはず。値段に関係なくズバッと刺さるものと出会うまでひたすら試着してみてください。

初めて買うなら、Tシャツがいいかもしれません。種類が多いので気に入るものが見つけやすいと思います。年中着れるので、愛着も湧きやすいですしね。

——今後、どんなお店にしていきたいですか?

人とのつながりを大切にしたいという思いで始めたので、たくさんの人が集まれるような場所にしたいと思っています。バンドやDJをしているお客様達に来ていただき、音楽と古着をミックスさせたイベントを開催したりと、古着文化を発信する拠点のようにしていけたらうれしいですね。

「コミュニケーションは得意じゃないので、いったん心を落ち着けてからお客様に声をかけるようにしています(笑)」という中坂さん。暗めの店内にはアングラな空気がただよいますが、やわらかい口調で話す物腰のやわらかさとのギャップがとても印象的でした。気軽に入って、気軽に出てこられるお店なので、お近くにお越しの際は、ぜひのぞいてみてください!


古着屋 顏(かんばせ)

兵庫県神戸市兵庫区新開地1-4-3 ミナエンタウン2F

営業時間:14:00〜19:00

定休日:水・木(祝日は営業)

Instagram:www.instagram.com/canvase_used/


エディター:Yoshihiro

ヴィンテージフリークのフリーライター。ファッションEC批評を中心にウェブメディアの幅広い領域で活動中。趣味はひとりで古着屋巡りをすること。好きな食べ物は、うに。

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