VintageCity

20世紀初頭頃製のネックレスです。
トップ部 "MIAULT" のサインから、アールヌーヴォー期に活躍した
Henri-Victor Miaultの作品であることが分かります。

モチーフはカラスムギ。
下がる穂がいくつも重なり、それぞれの先端の長毛を目で追うと
あるものは真っすぐに、あるものは交差しつつ、トップ全体を囲む
外枠へとたどり着きます。

しかしよく見ると、外枠だと思っていた部分もカラスムギの
茎であり、穂なのです。
枠にモチーフが沿っているのか、枠自体がモチーフなのか。
題材を際立たせるための縁取りが、実は作品の題材そのものでも
あるというシンプルながらもユニークな構成です。

穂の立体感や少々の硬さまでもが伝わる繊細な銀細工。
香りたつ野性味はありつつもけして荒々しさを感じさせないのは、
シルバー特有の滑らかさと、何より流れるように美しい、優れた
デザインあってのことでしょう。

角に丸みのある長方形と円形とを連ねたチェーンは、トップから
わずかに突出させたパーツを起点に留め具へと至ります。
Miaultの他作品でも目にするこの組み合わせと手法は、確かに
モチーフとのバランス、相性が非常に良く、作家のこだわりの
一つであったのかもしれません。

麦畑の一部に焦点を合わせそのまま切り取ったような写実性と、
モチーフ個々の形状、配置、透かしの細部にわたり計算された
高い芸術性とが見事に共存する様に、その名が現代にまで知られる
Henry Miaultの力量が見てとれます。

フランスのシルバーを示す刻印が確認できます。

年代　　1900年頃
国　　　フランス
素材　　シルバー
サイズ　 トップ約4.6cm×4.6cm　チェーン長さ約47.5cm

当店ブログにて他の画像もご覧ください。

http://galleryaura.blog.fc2.com/blog-entry-343.html