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カルチャー

強さへの憧れ。

2年前閲覧 693

もしタイムマシンで時間旅行に行けるとしたら、最も行ってみたいのは?
という質問に対し、ある調べによると、

「過去に行きたい」と答えた人が50%超で過半数を越え、

「未来に行きたい」と答えた人はおよそ20%だったとか。

多くの人の心に

「あの頃はよかった…」

または、

「あの日に帰りたい」

という思いがあるということでしょうか。

自分自身は戻りたい懐かしい時も先取りしてみたい未来時間も、

ちらりともないため、その真意にまで想像は至りませんが、

よくよく考えてみると

タイムスリップ系の映画やドラマ、

本やアニメに漫画、

あらゆるエンターテイメントにおいて非常に人気の高い設定。

ひとは手が届きそうで届かない現実と

非現実のはざまに、ロマンを感じるのかもしれません。

例えば

「もし、もしもあの時、別の選択をしていたら…」なんて風に。

たしかに振り返って空想したことはありますが、

だいたいは「迷ってパンプスにしたけどスニーカーにしておけば走って電車に間に合ったのに」とか、

じゃんけんで負けてしまったときに直前で出す手をとっさに変えてしまったことを悔やんだりといった、

取るに足らないあまりにも小さな事案。

恥ずかしいほどに…

違う観点から考えてみます。

そういえばピッカピカの新しいものも清潔でもちろん好きですが、

心惹かれるのは実はちょっと古いものだったりします。

昭和レトロな雰囲気とか。

もしかしたら自分でも気づかずにいた懐古趣味なのか、ノスタルジックな感情か。

無意識ながら懐かしむ気持ちがあるのかもしれませんね。

時を越えて平成が過ぎ時代は令和、ここで嗅ぎとる昭和の息吹。

なんともエネルギッシュで濃く、エモーショナルなストーリーを感じずにはいられないのです。

愛称HYS(ヒス)で親しまれ、長く熱狂的に愛されているヒステリックグラマー。

1980年台半ばに立ち上げられた同ブランドは、

60〜70年代のロック・アート・ポルノグラフィなどといったサブカルコンテンツからのインスパイアにより、時を経てなお輝き続けるアーティストや作品からのインスピレーションがデザインの基礎になっているようです。

今では性別問わず幅広いジャンル、

年齢の人々に受け入れられるアイテムをリリースしています。

ブランド名に由来するのは、ヒステリックでグラマーな女性。

そのイメージはそのままアイコニックに掲げられており、官能的ながらどこかシニカルな表情で、意志の強さのようなものさえ感じ憧れの象徴として心酔したものです。

素材や加工など物づくりへの徹底したこだわり、一貫したコンセプトのもと独自のスタイルを提案し続ける、日本製アメリカンカジュアルの王道ともいえる人気ブランド。

ややタイトめなデザインが多く、スリムフィットなシルエットをいかしたロックテイストなコーディネートが定石である一方、プリントTシャツにデニムを合わせたカジュアルコーデも、肩肘張らないのにキマるスタイルとして定評があります。

クールなカラーリングのシャツを見つけた瞬間は、時代の違和感というか本当にタイムマシンで移動でもしたかのような驚きに似た感動をおぼえました。

ポリエステル100%のテロテロ具合や光沢、なんともレトロな風合い。

Tシャツは強いインパクトが気に入って持っていたものの、それ以外のアイテムにはご縁がなく。

いつの頃だったか、子供服も大流行し全身ヒスミニといったいで立ちの子供たちをよく見かけたものです。

子供が着ていてもやっぱりスゴみというか、迫力のようなものが放たれているように感じていたのは私だけでしょうか。

子供服でもやっぱり強さが前面に出てくる、これだけ完成されたブランドカラーはなかなかありません。

大人になり懐かしく思う人がいる一方、むしろ新鮮に映る若い人もいて、ファン層の拡大は不可避といったところでしょうか。

昨今の流行フォルムとしてはオーバーサイズなゆとりあるもの。

このシャツのようなジャストフィット感は、逆に目新しく感じます。

そもそもこのシャツは何シャツと呼ぶのでしょう?

ポロシャツ、で良いのかそれともポリエステル100%なのでポリシャツ?

ボーリングシャツとも違うしアロハでもない、ともかくファンタスティックなシャツとの出会い。

自分が抱いていたヒステリックグラマーのイメージにはまるで重ならなかったので、新しいものを見つけたようにすら思っていたほど。

ただやはり強い、その見た目の圧倒的な強さは深層心理を大きく揺さぶるよう。

憧れの根底にある強さは引力まであるのか、それともただの偶然か。

不思議なご縁に導かれるままお迎えしたレトロシャツは、いま自宅クローゼットで出番を待っています。

総柄シャツなので合わせるものが限定されそうだなんて、誰が言った?

ベースカラーは重くない黒、胸とお腹周りのボリュームが出がちなパーツをキュッと引き締めるように細いボーダーがランダム気味に引かれています。

錯覚の効果でもあるのでしょうか、心なしかボディラインが整って見えます。

隙間を縫うように控えめに入った赤いラインは白を際立たせ、裾や袖口ではチェーン模様に姿を変えて主張します。

黒も白も赤も、単体で存在感をじゅうぶん示す色味なのに、良い感じにまとまりを見せている理由はたぶん、質感。

テロテロの素材が肌をさらりとすべり、ほどよいフィット感で身体を包みます。

ストレッチが効いているため動きにも対応よく、シワができないのが特長のポリエステルがもたらす光沢がちょうど良い。

それこそがどことなくレトロ感を醸し出している要因かもしれません。

よくよく見ると反復パターンの図柄は、幅の違う細い横線に斜線が入っていたり、デザインの違うブランドロゴを2種類併存させたり、細やかなこだわりが見え隠れ。

なんといっても連続する赤いキーチェーン柄と、袖口・裾を彩る整列した鍵が可愛さを加えつつも、全体として捉えたときにはハート型キーのチャーミングさはどこへやら、押しの強さすら漂わせる完成図に。

これこそが自分だけが持ちえる愛着になってゆく、心憎いセンスだなと思うのです。

ヒステリックグラマーのプリントTシャツは、デザインがおしゃれなだけでなく、タイトなシルエットがスタイルをよく見せてくれる計算になっています。

もちろんもともとのボディラインが完璧に補正されるわけではないので、日頃の自身の鍛錬は必要ですが。

こうありたい、かっこよく仕上げたいイメージがあるなら少しの努力と着合わせのアイデアさえあれば、ファッションは楽しめるもの。

かといって無理なダイエットで不健康に痩せても、水分と筋肉量が減ってみすぼらしい状態では全然ステキじゃないし、欲張ってたくさんのアイテムを買い漁っても財布がやせ細って心まで貧乏になってしまいまったく格好良くありません。

生き方はそのまま見た目に表れると言います。

大人になり着る服やメイクなど自分で身なりを整えるようになって以降は、自身の好みや趣味趣向が大きく影響した装いになります。

生活習慣や食習慣も同じく、蓄積の上で目に見える変化をもたらすこともしばしば。

逆にそのコントロールができれば、見た目は自分の意志でいくらでも変えられるということ。

その先には、なりたい自分を叶えてくれる好きな服を自信を持ってとことん楽しむ自分が浮かんでくるのでは?

とかなんとか、言うだけは簡単。

実際行動し継続することこそが大事であり難しいんですよね。

昨日の休み、お昼ごはんをしっかり食べた後、ちょっとアルコールなど嗜んでみた私が言えることでは、ありませんでした。


エディター : 高橋 由衣

www.instagram.com/iii.p_qiii/?hl=ja

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